宇宙遊泳

スホさんとEXOについての独り言

儚さというもの

 花火が本当に好きだ。
 あんなに綺麗なのに一瞬で終わってしまう。でもそれこそが儚く、美しい。
 桜とか、雲とか、しゃぼん玉とかも、同じ類の美しさがあると思う。

 あの一瞬の輝きのために、たくさん時間と手間をかけて、花火職人の人が火薬を詰める。あまりに一瞬だから少し勿体ないなと思ってしまう。
 でも、あの、燃える光の玉、ひと粒ひと粒の、動きと点滅がなければ、花火はあんなに芸術的に美しくはならないのだろう、と思う。ただずっとそこで光っていたら、黒い壁に貼り付けられた電飾と同じなのだから。
 桜も、ただずっと咲いていたら、造花と変わらない。雲も、そこに同じ形でずっとあったら、ただの綿。しゃぼん玉も、ずっと同じ色、形で、触っても割れないとしたら、それはただのガラス玉。

 ひとりの人間としてのアイドルもまた、同じなのではないかと思う。
 私はどうしても、永遠に存続することを願ってしまうことがある。
 でも、彼らは、流れゆき、変わり続ける、無常の時を生きるからこそ、あんなにも美しい。
 それを、一言で言えば儚いというのだろう。ときに、そこに伴う感情を、切ないとか、かなしいとか、さみしいとか、表現することもあるかもしれない。

 確かに、アイドルを見つめ続けることは、ただ気持ちのいいことばかりではない。ほんのちょっとのことで、いとも簡単に、夢は崩れ去ってしまう。勝手な思い込みが悪さをすることもある。
 でも、ずっと同じだったら、きっととてもつまらないだろう。容姿もステータスも変わらないままだったら、それは作り上げられた空想の範疇を超えない。
 思いがけないことが起こるからこそ、生身の人としてこの現実世界で生きている彼らを実感できるのが面白いし、存在してくれていることがありがたい。
 そうは言っても、アイドルは夢を与える仕事だ。夢を与えなければアイドルではない。だから、私たちが彼らに理想や夢を抱くのは当然だ。そうなるように仕掛けられているのだから。
 夢を見させることを仕事としながらも、それが完全にかなってしまったら人間ではない。
 そう考えると、アイドルとは幻想と現実の不安定な狭間に立たされている、本当にもろくて儚い存在だと思う。その調節が、計り知れないほど難しいことも想像できる。

 私自身、彼らの容姿にしろ、考え方にしろ、変わっていくのがさみしいと思うことがある。
 ほんのたまに、変わってほしくないと思ってしまう。
 今のままでいてほしい。とか、あの頃のあなたをもう一度見たい。とか。
 でもそれは願ったって仕方の無いことだ。
 変わったからこそ、わかることも沢山ある。
 今ではそんな考えになったんだね、とか、あの頃はそんなふうに思っていたんだね、とか、今思い返せばあれは些細なことだったね、とか。
 変わることは、悪いことばかりではない。私たちもそれによって色々とわかって、感じて、成長できるかもしれない。
 変わることを怖がらずに生きていかなければならないのだと感じる。
 すべては絶えず移ろいゆくものだから。

 だからこそ、わたしは、今日の彼らを見つめます。
 まるで、印象派絵画を描くように。
 その一瞬の光を逃さないために、キャンバスに描き留めるように。
 彼らが体の中心から放つ光を、明度の高い絵の具を混ぜないで、ぺたぺたと乗せて描いていくかのように。
 私は、彼らの光を、心のキャンバスに描き留める。
 あのクロード・モネが自然に対して抱いた崇拝と深い愛と探究心は、私がアイドルに抱くそれと、どこか似通っている気がしないでもない。


 これと関連して、私の大好きな短歌を載せます。

 桜花今日よく見てむ呉竹のひとよのほどに散りもこそすれ (後撰和歌集)

 これも、アイドルに対する自分の気持ちと似ている気がする。
 人が美しいと感じるものは、昔からそんなに変わらっていないのかもしれない。
 泡沫夢幻、諸行無常
 それは花火。それは桜。それは雲。それはしゃぼん玉。それは人。それはいのち。

 そして、私にとって、いまいちばん美しいと感じるものは、スホさんという一人の美しい人だ。
 スホさんの、仄かにきらめく海のように静謐で、鉱物の結晶のように均整のとれた透明な美しさ。光に透かしたガラスや、真冬の陽光のような、切なく、儚い美しさ。
 目に見える美しさとはまた少し趣を異にする、強く揺るぎない輝きを持った美しさ。その裏にひっそりと在る、薄暗い影。
 こんなに美しい人がほかにあるだろうか。
 こんな人の存在を知ってしまったら、見つめることを疎かにしてしまっては、とてももったいないことをしていると思う。
 スホさんも、生きている人間なので、いつかは歳をとり、今のような輝きを失い、果てはその実体すらこの世からなくなる。
 儚い。どうしようもないほど。
 毎日が儚い。今日、いま、この瞬間のスホさんは、今しかないのだと思うと。

 だから、私はとても必死に見つめます。
 モネが、一瞬の光をキャンバスに残そうとしたのと、少し似たやり方で。